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◎ 始 め に …
比較的新しいキットですが、同社がレベル1/48のキットを参考に縮小アレンジコピーして型を起こしたみたいなF(P)-51Dの主・尾翼パーツや脚周りを共用するという第二世代頃のキット構成の発想で、二十世紀のライター諸氏だったら大喜びしそうな構成になっています。
でも、現在では共用できるのは主脚柱とタイヤ、尾輪ぐらいだということが知られてきていますので、評価を下げるだけの要素にしかならないんですけどね
!
P-51用の胴体パーツの付いた別ランナーには3枚ペラやフイッシュテイル排気管、コクピット関係のパーツやMUSTANG I にするためにチョイス式になっている機首や主翼の 12.7mm機関銃パーツと 20mm機関砲パーツがモールドされており、後部胴体などは感じの良いオムスビ形なので魅力はあるのですが、D型と同じになっている主翼の張り出しと主脚収納庫周りを直さないと、ハセガワのB型と同じような、おかしなP-51になってしまいます !
主車輪もディスクタイプが入っていて、英軍機用のデカールと組み合わせておもしろい選択もできそうなのですが、残念ながら英軍仕様のリングタイプ操縦桿は入っていません。
また、あるサイトに>レベルのMustang IIIと一部金型が共通になっています。 と書かれていましたが、どう見てもそれらしいパーツは見当たらず、私にはこの記述の意味が今も解っていません。
◎ 仮 組 み
とりあえず胴体パーツと主翼パーツを仮組みしてみると、胴体後部は我慢できるのですが、主翼の前縁から機首にかけてのラインがおかしいのが判ります。
写真ではよく判らないかもしれませんが、箱の裏のイラストのようになだらかな特徴的なカーブを描いているはずの機首下面のラインがスピツトファイアに似たきついアールのカーブになっていて、「このP-51キットの胴体の原型って、もしかしたらB型から直してるんじゃないのかなァ・・・胴体下面からキャノピーまでの高さが、B型やD型と同じぐらいあるし、D型と共用の主翼前端部分は丸みが強くなっているし・・・そのために機首の側面形が上下に異状に広くて、反り上がりのアールがスピットみたいに強くなってるんじゃないかなァ」と思わせるぐらいイメージが違っています。
主翼付け根の張り出しがD型のものになっていますが、主脚の収納庫は広がっていないD型状なので、センターライン寄りの主車輪収納部分を前に広げてやることで解決できますので、張り出しの削り以外は思ったほど大変ではなさそうです。
ただし主車輪カバーは使えませんので、ここはHOBBY SPOT Uのハセガワ用 1/72パーツから流用しようと思います。
コクピット内はサイドコンソール類が何もなく、床板はD型のを切り取って使うようにという指示があるのですが、同時進行中のマッチボックスのD型にそのまま使えそうなので、別に翼上面状の床板を用意しました。
サイドコンソール類もマッチボックスの分と一緒に作って適当に付けてやることにし、シート後部に特徴的な航空カメラを作って付けてやることにしました。
主翼と胴体の合いはD型と同じように主翼と胴体フィレット部との大きなスキマ、フィレット部から飛び出すフラップ後端、MUSTANG
I との共用のために差し替え式になっている機銃部分パーツとのスキマ、そしてD型用になっている翼端灯と識別灯、着陸前照灯の位置変更の予定を立てていきます。
また、スキマではありませんが、このP-51のキットにも胴体にフィレット部の表現が何もありませんので、これをどうするかも一緒に考えておきます。
◎ 修 正 開 始
付属デカールを使用して(胴体と尾翼にあるはずのエンブレムは自作か手描きするとして)20mm機関砲装備の米軍仕様
P-51にするつもりなので、操縦席後部に付く無線機パーツのパネルとカメラをプラ板とランナーから自作、コクピット左右のコンソール類もでっち上げました。
機首下面と主翼の張り出し部分は修正のために削ることが判っていますので、この時点でポリパテなどで詰め物をしておくとよいでしょう。
主翼ではポイントになる20mm機関砲先端と薬莢排出孔の穴あけや機関砲外側両側に付いている着陸灯の増設と翼端灯の位置変更、そしてもちろん大きく違っている付け根の張り出しと主脚収納庫の修正を行いました。
また、右翼端下面にあるD型の敵味方識別灯は削り取ります。
この敵味方識別灯はB型と同じ位置にモールドされているキットも多くありますが、A型までの機体ではレストアされた機体の写真以外には確認できていないので、私はA型までの機体(アリソン系、A-36も含む)には付けていません。
胴体外見では、なぜか彫られていないフィレット部のスジ彫りの追加と、張り出しの大きなD型の主翼との共用のために短くてアールが強くなってしまった機首下面の修正。
この主翼付け根の張り出しは前から見るとこれぐらい大きく見えますが・・・
斜め後ろから見るとこれぐらいにしか見えないのは、実機の写真でもよく知られているとおりです
!
この辺りの詳しい直し方はともさんが[ハセガワ 1/72 P-51B の
MODELING GUIDE]に書いてくださっていますので、参照してください
!!
ただし、ハセガワと違って主脚収納庫の修正はイタレリの場合は主車輪の収納庫部分を広げるだけでできてしまいますので、私は[HOBBY SPOT U]の"ハセガワ1/72
P-51B/Cムスタング用「早く直して欲しい」パーツセット"
に入っていた主車輪カバーに合わせて広げました。
イタレリでは収納庫部分が深く彫られていますので、バカ正直に奥まで広げなくても、充分それらしく見えます。
もちろん、そんな手抜きは邪道だと思う方や几帳面な方は、すべて掘り広げてくださってかまいませんッ
!!
また、ブラインドになっている薬莢排出孔やパイロンの取り付け穴は必要なものを先に開けておくことをお忘れなく。
とくに薬莢排出孔は気を付けて外側の二つのみを開口しないとそれぞれがうまく平行にならずに焦ります
!!
大体の下工作が終わった胴体(コクピット部分)です。
小さいので判らないかもしれませんが、照準器もいちおう自作して付けてあります。
下側になっているのは左側胴体のコンソール部分です。
シート後ろの無線機器はカメラの設置に伴い後方に移動(自作)しました。
カメラの取り付けステーは省略してしまいました、このスケールだと付けてもたいして効果はないと思うんで・・・アカデミーのキットでは再現されていますけどね。
この他、右が開口したうえで、銃身の付け根あたりに写真で見られるギザギザの改修を加えた20mm機関砲パーツ。
10分足らずで加工した手抜き作業ですが、塗装すれば雰囲気はアップするのでは・・・と自己満してます
!
そして縦長に開口したフイッシュティルタイプの排気管パーツ。
これのパーティングラインは実機の排気管にもあるようですので、きれいに削り取らないよう、要注意です
!
主翼を取り付け、ポイントになる機関砲を装着してから眺め回していたら、思ったより機首の側面形が高さがあり、機首周りをチョット削ったぐらいでは全然削り足りないことに気が付いてしまいました。
ということで、思い切り機首下面をゴリゴリガシガシ、ちょっと手が滑って取り落とした弾みで両翼の機関砲がペキペキッ
!! 大騒ぎで、床に跳んだ銃身を捜しまくりました。
この機関砲パーツは、合いを調整しておいて、一番最後で接着するようにしたほうが、こんな余分な作業を強いられる被害が少なくなると思います。
その後、内側に盛ったポリパテが露出するまで削って、ようやく満足とまではいかないけど、我慢できるぐらいになったのが、左の写真。
ただし、基本的な側面形の高さを縮めてあるわけではなく、あくまでそれらしいラインに修正してやっただけですので、本格的に直すなら、左の写真のように主翼自体の下面の突出がを少ないもの(写真では ホビースポットU から発売されているハセガワのB型修正用主翼パーツをあててみたもので実機写真でもこのくらいです)を付けて高さそのものを低くしてやる必要があると思います。
まぁ、私は今回はそこまではやりませんでしたけど、このアリソンエンジン搭載型ムスタングのキットは、この部分の表現が、それらしさを左右するポイントの一つになっていると思いますので、各キットのなだらかさを書いておきますね
!(笑)
一番なだらかなラインなのがフロッグ/ノボで、以下 <アカデミー <ハイプレーン
<スペシャルホビー/MPM/コンドル/SMER <モデルニュース/ABC <ブレンガン
<イタレリ <ガルテックス(ハセガワ) の順になっています。
もちろんこれは数値的なものではなく私の感覚的なもので、スピナ直後の逆R部分をどう表現するかによっても違ってきますし、ガルテックス(ハセガワ/GARTEX)のようにレジン材質の収縮で、R
が更にきつくなってしまったものもありますので、各人の好みで大きく左右されると思います。
余談ですが、ガルテックス(ハセガワ/GARTEX)のレジンの胴体パーツは、1994年の購入時に計測した全長は1/73.8
でしたが、12年経った 2006年6月現在では1/74.2、発売から 18年経った 2012年1月
では 1/74.6 、24年経った現在(2018年4月)では 1/75 と更に縮んでしまっていますし、成型の薄さが逆に歪みやたわみ、反りなどを生んでいますので、このキットを今現在購入しようとする方は、それなりの覚悟が必要となります。
ただし、ホワイトメタルパーツ(スキー降着装置や後述の先端が細くないタイプのブレードとインジェクションのスピナキャップなど)は貴重ですので、これの入手を目的とし、胴体のほうは ホビースポット ユウ の主翼パーツと組み合わせて、 1/75 スケールとして楽しむのも面白いかもしれません !
プロペラは三葉一体で固定の軸も付いていて、前後分割のスピナキャップで挟む形ですが、プロペラブレードは形が曖昧で、どの写真のものとも似ていません。
右の写真の左側のがキットのもの、右側のがハセガワの旧72のスピナキャップにハセガワ新72のK型に入っていたK型用ブレードから整形して付けたものです。
このほか、今回は作っていませんが、写真で時々見られるあまり先端が細くないタイプのブレードはD型後期のオール状に角ばったカフス無しのハミルトンスタンダードから作ってやると良いかもしれません。
さて次に胴体の表現が省略されているフィレット部ですが、D型と同じように筋彫りのラインが中途半端に止まっていて、なんだかこれも仕事を途中で投げ出しているみたいで気になります。
そこでD型の時に作った筋彫り用の治具(左側の透明アクリル板)を反対側に初期型のも作って上の写真のように筋彫りにしてしまいました。
ここいら辺はいつも現物合わせとその場の思いつきでやってます。(笑)
◎ 細 部
主翼の張り出しや主脚の収納庫はこんなふうに違ってきます。
もちろん D型用の翼端灯と下面の敵味方識別灯は無くして、着陸灯は脚収納庫内から移して、両翼の機関砲外側に追加してあります。
ホイールはディッシュタイプを使ってみたかったのですが、残念ながらこのマーキングの機体は写真では通常の10本スポークのものだったので、こちらのタイプになっています。
キャノピーパーツに開いているアンテナ柱の取り付け穴ですが、かなり大きく開口されていますので、付属のパーツでもグラグラしますし、細い棒状のアンテナ(こちらの形状のほうが多い気がします)に換えようとすると固定しませんので、胴体取り付け前に一度埋めてから取り付けるアンテナ柱にあわせて、開けなおして置いたほうが良いと思います。
胴体下のエアアウトレット・フラップは全開位置にするなら多少削っておかないと、そのままでは閉位置か半開ぐらいにしかならないと思います。
◎ デ カ ー ル
だいぶできてきたので、デカールを貼ろうとしてビックリ !
付属デカールでは国籍マークの周囲の黄色い縁取りの幅が、写真で見られるものの半分ぐらいしかないじゃないですか
!
しかも、写真に写っている操縦席の後部胴体と垂直尾翼にあるはずの黄色い地図だかエンブレムだかは全く無視されていますし・・・いいもん
! アカデミーのを使うから !! と引っ張り出して、またビックリ !!
コチラは黄色の縁取りや前述のエンブレム状のデカールはちゃんとなってるのに、一番目立つ垂直尾翼の星条旗が大間違い
!!
なんと星が現在の 50 Star Flag (9列で上から6-5-6-5-6-5-6-5-6) みたいに互い違いに並んでいて、しかも5列(8-7-8-7-8)しかないので数が38個(1960年以前は8個×6列で48個<イタレリが正解 !) なのです !! <アメリカでも販売してるんだろうに・・・長さ(縦横比)的にはこちらのほうがいいと思っていたので、この間違いは残念です ! で、結局別売りデカールから調達して貼りました。
それと、箱裏のカラー図では黄枠の国籍マークと機体ナンバーの 137322 の
1 との間がかなり離れていますが、これは国籍マークの黄枠の無い時期に両方が書かれていて、後から国籍マークの周囲に黄枠(黄色の縁取り)が描かれたので、黄枠(黄色の縁取り)と機体番号の最初の
1 (反対側は最後の 2 ) が、右側の写真の左下隅に写っているモノクロの実機写真のように少し重なり気味になるのが正しいです。
MUSTANG MODEL GALLERY の完成品
P-51 (S/N.41-37322)
154thOS/68thOG/12ndAF
"MAH SWEET, EVA LEE"
を見る
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